抗議声明「2050年までに原発による発電容量を世界で3倍にするという宣言」の撤回を求めます
2050年までに原発による発電容量を世界で3倍にするという宣言の撤回を求めます
2023年12月2日、アラブ首長国連邦で開催されている第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)において、米国政府が「2050年までに原発による発電容量を世界で3倍にする」という宣言を発表し、これに日本を含む21カ国が賛同を示したことが報道されました。私たちはこの宣言に強く抗議します。
きわめて深刻な原発事故を経験した日本において、世界の原発容量を3倍にし、日本政府がその宣言に賛同することは、決して認めることができません。これは被災した膨大な人々を愚弄するものにほかなりません。
福島第一原発事故により、10数万人もの人々が避難を余儀なくされました。今も原子力緊急事態宣言が出され続けており、人々は被ばくによる健康不安に悩まされ、土壌の強い放射能汚染などによって多くの人々が故郷に帰れないでいます。事故を起こした原子炉からは、放射能デブリを取り出すことすらほとんどできないままで、廃炉のめどもたたず、収束にはほど遠い状況です。しかもデブリに触れた放射能汚染水は増え続けており、トリチウムや炭素14や、他の放射性核種も処理しきれないままの汚染水の海洋投棄を強行し、今後30年以上にわたって海洋放出し続けるというのです。原発事故による被害は計り知れません。
そもそも原発は危険で不安定な上に経済合理性にも欠ける電源であり、ウラン採掘から運転、廃炉、核燃料の処分に至るまで環境を汚染し、人権を侵害するものです。原発を気候変動対策にすべきではありません。公的資金を将来性がない原子力に使うことは、未来の無い原子力産業を儲けさせ延命させるだけです。
日本政府は、国内ではなく主要に国外で原発を建設することを支援すると説明していますが、これは危険な原発を輸出して他国に押し付け、他国の人々を危険にさらすことによって原発産業を儲けさせるものであり、このような不正義を認めることはできません。
気候危機に立ち向かうためには、一刻も早い化石燃料の廃止と、省エネルギー対策の徹底、再生可能エネルギーの適切な活用こそが必要です。原発をはじめとした「誤った気候変動対策」は、真の対策を遅らせ、既存の不正義の構造を強化するだけです。
私たちは、私たちの未来に、気候災害も原子力発電も、存在してほしくありません。
「2050年までに原発による発電容量を世界で3倍にする」という宣言を撤回することを強く求めます。
2023年12月3日 バイバイ原発3・9きょうと 大学生有志